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2013. 09. 27  
先週末、石川県白山市で開催された「地域づくり円陣2013in白山」によばれて、ジオパークの話をしてきました。
白山市は平成17年に手取川流域の1市2町5村が合併してできました。
新しい自治体の共通のアイデンティティーをジオパークですすめようという意図があるようです。

このジオパーク、全国32か所のジオパークのなかでも、個人的に大好きなジオパークです。
それはなぜか。
センス(扇子)がいい。

地形地質を前面に出してくるジオパークがほとんどの中、このジオパークのテーマは「水の旅」。
白山で雪が降る→融雪が川となって流域の人のくらしを支える→海に流れた水は蒸発して雲になりまた白山に雪を降らす。(これは公式なテーマ)
この詩的な世界が好きです。
また、手取川は、上流部の隆起量が大きいので崩壊しやすい→大量の土砂が流れる→下流に大規模な扇状地ができるという特徴を持っています。この土砂の旅も見どころ。(これは個人的見解)

前ふりはそのくらいにして、今回のわたしの白山手取川ジオパークの旅をご紹介します。


旅の出発は北陸鉄道石川線野町駅。
旅はやっぱり公共交通がいいです。地域の人々の暮らしがよく見えます。

野町駅前
野町駅前で見かけた光景。
昔から人と人が集う空間だったことを教えてくれます。
こういう空間、現代社会に絶対必要だとわたしは思うのですが…。

北陸鉄道石川線は、ゆったりとした時間を乗せて、手取川扇状地のすみっこを少しずつ上流へと登っていきます。

これぞ駅!
終点の鶴来駅。
これぞ駅という重厚感です。
人びとの出会いや別れを見守ってきた重みを感じます。
こういう駅に降り立つとそれだけでかなり旅気分。


白山手取川ジオパークに来たら、まず行くべき場所が獅子吼高原。
手取川の扇状地がきれいに見えます。

the扇状地
これぞ扇状地です。
川から大量の土砂が流れてくるから、下流の流路に土砂がたまります→周りより標高が高くなってしまうので、川の流れは低いところに移動します。それを繰り返すので、川の流路はまるでワイパーのように左右に動きます。
その結果、扇子を広げたような緩やかな斜面の平地ができるのです。
ね、扇子(センス)がいいでしょ。
だから、本来、川の流れは左右に振れたいはずなんです。
でも、それを川の好き勝手にさせてしまうと、人が暮らせないので、堤防を築いて川の流れを固定してしまいます。まるでギブスをはめられているようです。そして、流路にたまった土砂は人工的に除去します。きっと現在では上流にダムがあるだろうから、そもそも土砂がそれほど流れてきていないと思いますが…。(その結果、河口の砂浜がなくなるんですけどね…)
この扇状地を見て思うのは、日本の中央部の隆起量の大きさです。
いくつものプレート境界があつまる日本列島。山はぐんぐん高くなっていきます。だから崩れちゃう。
こんな大規模な扇状地は、そんな変動帯日本らしさを私たちに教えてくれます。


さて、白山手取川ジオパークに来たらぜひ訪れてほしいのは松任駅前にある俳句館。
俳句という精神世界をよくぞここまで具現化したと感心しました。

俳句の世界を体験する?
俳句の世界を体験するシアター。
凝ってます。

俳句の世界を体験する3
中庭の日本庭園が見える窓に色つきの透明フィルムが貼ってあって、そこに映像が映し出されます。
こころで感じるものを説明する。
すごい演出です。

俳句館のガイドツール
これ、わたしがこのところジオツーリズムで注目しているツールです。
ジオパークは、何気ない景色に秘められた物語を伝えるのが重要だと思っています。
これを使えば、ガイドさんがいなくても説明ができるよなぁと。
たとえば公共交通で使えないかなと。
路線バスや鉄道で希望者に貸し出して、ヘッドホンで説明を聞いてもらえたら、公共交通の利用促進にもなっていいと思うんですが…。ジオパークだからできる旅の演出でしょ。


ギブスをはめられた?手取川。
見てみてまず思ったのは、白くてまぶしい!

手取川
なんで白っぽいのかは、事務局の人に教えてもらいましたが、忘れちゃいました(苦笑)
河原って、ほんとその川の個性がでます。
河原に大量の石がある川もあれば、流路幅に対してほとんど河川敷がない川もあります。
流域の地質や上流部の山の標高なんかも効いていると思います。
日本中の川を見比べると、その土地の個性が見えますよ。


手取川扇状地の恩恵の一つがこれ。

手取川の恩恵
扇状地の先端では、水が湧き出します。
その湧水をつかった生業。
魚の糠漬け粕漬け?。(記憶曖昧でごめんなさい)
わたしはフグの卵の糠漬けを買いました。
工場には、湧水が引いてあって、魚を加工するときに使用しているようです。
伝統が息づく生業です。


街中でみつけた白山市のポスター。

白山市のPRポスター
メッセージのセンスそのものが「ジオパーク」です。


白山比咩神社もいいですよ。
この風土が生んだ信仰なんだと思います。
その参道脇のお土産屋さんの農産物を並べた棚でこんなものを見つけました。
白山手取川ジオパークのわたしの「最大の見どころ」でした。

これぞ持続可能な社会
すてきでしょ。
これぞ持続可能な社会です。
こういう思いを持った人々が住んでいる手取川流域。
白山手取川ジオパークはこの人々の思いをぜひ伝えてほしいと思います。


最後に蛇足ながら、白山手取川ジオパークこんなこともできるんじゃない?
ということをおせっかいながらに書きます。
・キーワードは、水だけではなく、川という一つの「生き物」をどう見せるかもこの地域では重要だと思います。
川は上流・中流・下流でそれぞれ別な姿を見せますが連携しています。先ほど書きましたが、たとえば上流にダムを造れば下流に影響が出ます。ダム批判をするつもりはないですが、川を連続した一つの生き物と見ることは持続可能な社会を考えるうえで重要だと思います。流れている石にも注目することで各地の地形の特徴が見えてくると思います。
・流域で一つの地域住民アイデンティティーを形成することはすてきなことだと思います。上流(山間部)と下流(扇状地部)の住民交流をどんどんやるべきと思います。たとえば、私だったら子どものホームステイ事業とかやりたいです。扇状地に住む子どもが山間部の家にホームステイに行く。そこで交流が生まれる。もう一つの家族ができる。そして相互にお互いの土地が手取川という生き物の一部であるという理解の元、お互いの土地を尊重するようになる。そんなことができたら素敵ですね。
・北陸鉄道石川線はジオパークで活用できると思います。電車に自転車を乗せる企画もしているようですので、北陸鉄道とチャリでめぐるジオパーク散歩~扇状地を旅してみよう~なんてイベントどうでしょう?扇頂・扇央・扇端のそれぞれの地形と土地利用の特徴が伝えられるとシリーズ化できます。
・北陸鉄道の廃線跡(鶴来駅~加賀一の宮駅)でトロッコ走らせたらおもしろいかも。今年度日本ジオパークに認定された北海道三笠市でも同様の実践事例があります。手取川からの用水を横目に、扇頂部の景色をながめながら、緩やかな傾斜を感じながらのトロッコ旅。おもしろそう。

すいません。好き勝手なこと書きました。
ジオパークはネットワークですから。。。
助け合いが重要ですので。。。

<最後にちょっと注意書き>
こういう文章を書くと、ジオパークの事務局(行政)に対して「もっとジオパークちゃんとすすめろ」と批判する地域住民の方がたまにいますが(全国的にそういう側面はあります)、行政だけではなく地域住民、民間企業、みんなでできることをやっていくのがジオパークです。どんどんできることを協力しながら進めていかないと、4年ごとのジオパークの認定再審査とおりません。
ジオパークが人だといわれるのは、そのためです。
地域全体で持続的な活動をしていないと認定がはく奪されます。
みんなでやるからジオパークはおもしろい、やりがいがあるんだと思います。
答えがないから試行錯誤でしんどい部分もあるんですが…(苦笑)

ちなみに、白山手取川ジオパークの事務局は素晴らしいメンバーがそろっていると感じました。
地域住民との協働の地域づくりのセンスを持った行政職員、事務能力に優れた行政職員、地質学や人文社会学など多彩な学術的な専門知識をもったジオパーク専門員…ジオパーク推進に必要な要素がかなり満たされた理想の事務局です。
全国的にもこれほど理想に近いジオパーク事務局はなかなかないんじゃないでしょうか。
ちなみにわが室戸ジオ事務局構成も白山手取川ジオ事務局と似ていますよ(苦笑)
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プロフィール

k.yuhora

Author:k.yuhora
琉球大学(学士)→筑波大学(修士)→北海道大学(博士)と北上してきました。
北大院生時代は、南幌町で離農した一軒家をお借りして、ミツバチと四季を感じながら暮らしていました。高知県室戸市の室戸ジオパーク推進協議会地理専門員を経て、現在、徳山大学経済学部准教授として働いております。

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